使用する水の選び方
水選びは、高品質なコーヒーを淹れるうえで、そして何よりも エスプレッソマシンを長く使い続けるために欠かせないポイントです。
適さない水を使うと、取り返しのつかない損傷につながります。 ボイラーや内部配管を傷め、長く使ううちにマシンの正常な動作にも支障をきたします。
どのような水がおすすめで、どのような水は絶対に避けるべきか、順に見ていきましょう。
不適切な水の使用による水垢(スケール)が原因で生じた損傷は、保証の対象外となりますのでご注意ください。
ただし、適切なろ過、スケール除去、定期的なお手入れを行えば、最小限のメンテナンスでマシンは長年にわたって優れた性能を発揮し続けます。
水道水:硬度に注意
世界のほとんどの地域では、 水道水の80〜90%が硬水とされています。 つまり、カルシウムやマグネシウムの塩類を多く含んでいるということです。
マシンを傷めずにおいしいコーヒーを淹れるには、ミネラルがバランスよく含まれた水が必要です。ミネラルが多すぎるとマシン内部に蓄積して水垢となり、効率や正常な動作を損なうおそれがあります。
水に含まれるミネラルの量は、 TDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)という指標で測定します。
エスプレッソの抽出に理想的な水の目安は、 TDS 90〜150 ppmです。 この範囲であれば、マシンを傷めることなく、コーヒーのオイルや香りを引き出すのにちょうどよい量のミネラルが含まれています。
以下は、La Marzocco が提供している参考表です。コーヒー用の水を選ぶ際に押さえておきたい項目がすべてまとめられています。
| 項目 | 単位 | 最小 | 最大 |
|---|---|---|---|
| 総溶解固形分(T.D.S.) | ppm | 90 | 150 |
| 総硬度 | ppm | 70 | 100 |
| 総鉄 | ppm | 0.0 | 0.02 |
| 遊離塩素 | ppm | 0.0 | 0.05 |
| 総塩素 | ppm | 0.0 | 0.1 |
| pH | 6.5 | 8 | |
| アルカリ度 | ppm | 40 | 80 |
| 塩化物 | ppm | 0 | 30 |
エスプレッソマシンに水道水を使う場合は、必ずその水質を確認し、推奨値と比較することが大切です。 お住まいの地域の水道事業者に詳しい情報を問い合わせるか、専用の測定器具を使ってご自身で調べることができます。
測定には BWT Kitがおすすめです。 水の炭酸塩硬度と総硬度の両方を測定できる、シンプルで実用的なツールです。
測定した数値に応じて、適切な水処理システムで水垢の原因となる成分を減らし、水質を最適化することが重要です。これによりマシンを守り、コーヒーの抽出もよくなります。
タンクに水道水を直接入れる場合
タンクに水道水を入れて使う場合は、 スケール防止タブレット BWT BestSave Mの使用をおすすめします。
この便利なアイテムは、マシン内部への炭酸カルシウムの蓄積を抑え、水垢の付着を効果的に防ぎます。
開封したらパックを流水ですすぎ、タンクの底に置いてください。 イオン交換体が十分に働くまでには約10時間かかるため、夜のうちにタンクに水を入れ、BestSave のパックを入れたままにしておくことをおすすめします。 こうすることで、翌日には処理済みの水をすぐに使えます。
下の表で、BWT パックの最大ろ過能力を確認できます。お使いの水の硬度とタンクの容量を照らし合わせると、給水できる回数がわかります。なお、いずれの場合もパックをタンクに2か月以上入れたままにしないでください。
| 水の硬度 | 軟水 | 中硬水 | 硬水 | |
| 炭酸塩硬度 | 10° KH | 15° KH | 20° KH | |
| タンク容量(リットル) | 給水回数/日数 | |||
| BWT Bestsave M 100リットル* | 1.0 | 100 | 66 | 50 |
|---|---|---|---|---|
| 2.0 | 50 | 33 | 25 | |
| 3.0 | 29 | 20 | 15 | |
*炭酸塩硬度10°での標準的なろ過能力
お使いのマシンが Lelit のエスプレッソマシン であれば、同じブランドの 軟水化フィルター をタンクに直接入れて使うこともできます。2個入りで販売されており、1個あたりの容量は70リットルで、Lelit のすべてのエスプレッソマシンに対応しています。
または、 BWT Aqualizer 浄水ポット で水を処理してから、マシンのタンクに注ぐ方法もあります。高度なろ過システムにより、BWT Aqualizer は水垢の原因物質、重金属、その他の不純物を効果的に低減して水質を高め、エスプレッソマシンの性能維持に役立ちます。
一般に浄水ポットは水の処理に適した方法ですが、エスプレッソマシンで使う場合のろ過能力は BWT BestSave M に劣ります。
給水設備に直接接続する場合
エスプレッソマシンを給水設備に直接接続する場合は、 BWT の Bestmax PREMIUM の使用をおすすめします。
このろ過システムは、水垢、塩素、重金属など、マシンの正常な動作を妨げる物質を除去します。さらに、BWT が開発したマグネシウム技術により、水に含まれるカルシウムの一部がマグネシウムに置き換えられ、カップに注いだコーヒーの風味を引き立てます。
フィルターカートリッジは、最小のSサイズから、バールやカフェに最適な最大のXXLサイズまで、さまざまなサイズがあります。使用量に合わせて最適なサイズをお選びいただけます。
このろ過システムは、 BWT Besthead と組み合わせて使用する必要があります。 Besthead は、すべてのフィルターカートリッジに対応する接続ヘッドです。
水の硬度に応じて、ヘッドのバイパスを1〜3の範囲で調整できます。これにより、フィルターのろ過能力とカートリッジの寿命(処理できるリットル数)が変わります。
以下は、お使いの水の性質に合わせて適切な設定を選ぶための BWT の早見表です。
°dTH = ドイツ総硬度。内容は変更される場合があります。
| 総硬度(°dTH) | バイパス | サイズ | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| S | V | M | XL | 2XL | ||
| ≤ 7 °dTH | 3 | ≥ 1070 | ≥ 2570 | ≥ 3855 | ≥ 6140 | ≥ 10000 |
| 8 °dTH | 3 | 935 | 2250 | 3375 | 5375 | 8750 |
| 10 °dTH | 3 | 750 | 1800 | 2700 | 4300 | 7000 |
| 12 °dTH | 2 | 565 | 1360 | 2040 | 3250 | 5290 |
| 14 °dTH | 2 | 485 | 1165 | 1750 | 2785 | 4535 |
| 17 °dTH | 1 | 355 | 860 | 1290 | 2060 | 3355 |
| 20 °dTH | 1 | 305 | 730 | 1100 | 1750 | 2850 |
| 23 °dTH | 1 | 265 | 635 | 955 | 1520 | 2480 |
| ≥ 25°dTH | 1 | ≤ 240 | ≤ 585 | ≤ 880 | ≤ 1400 | ≤ 2280 |
水のろ過システムを正しく完成させる最後のステップは、 BWT AQA Monitor 流量計 の取り付けです。 このデジタルメーターを使えば、ろ過した水の使用量を正確に把握できます。Besthead 接続ヘッドに直接取り付けると、内蔵の液晶ディスプレイにフィルターの残り容量がリアルタイムで表示されます。Bestmax PREMIUM カートリッジの交換時期が正確にわかるため、エスプレッソマシンの最適な性能と、安定したカップクオリティを保つことができます。
ボトル入りの水:使えますが、選び方に注意
ボトル入りの水は、アクセサリーを買い足さなくてもすぐに始められる、手軽で便利な方法です。ただし、環境面では最も持続可能な選択肢とはいえません。
いずれにしても、選んだ水が前述の理想的な数値を満たしているか、必ずラベルを確認するか水質を測定してください。それが正しいミネラルバランスを確保する唯一の方法です。ミネラルバランスは、高品質なエスプレッソを淹れるうえでも、マシンを長く良好な状態に保つうえでも欠かせません。
La Marzocco をはじめとする業務用マシンメーカーが特によく推奨している水のひとつが、Acqua Panna です。ミネラルバランスがよく、エスプレッソの抽出に特に適しています。
ボトル入りの水を使う場合でも、タンクにスケール防止タブレット BWT BestSave M を入れておくと、水垢の付着をより確実に防げます。
蒸留水・純水:絶対に使わないでください
「純粋」で良さそうな選択に思えるかもしれませんが、 エスプレッソマシンに蒸留水を使うことは強くおすすめしません。 硬水よりも深刻な損傷を引き起こすおそれがあります。
ミネラルがまったく含まれていないとエスプレッソの味が損なわれ、平板でバランスが悪く、香りの奥行きに欠けたものになってしまいます。
さらに、多くのマシンは蒸留水を正しく検知できません。いくつかの機種では、水の電気伝導率(ミネラル含有量によって変わります)を利用してタンクの水位を監視しているためです。完全に脱ミネラル化された水では、タンクが空であると表示されることがあります。
また、蒸留水を長期間使用すると、特にボイラーや金属製の配管を備えたマシンでは、一部の内部部品の腐食を招くおそれがあります。
マシンを長期間使用しない場合
1週間以上使用しない場合は、タンクとボイラーの両方を空にすることをおすすめします。水の滞留を防ぎ、細菌が繁殖するリスクを減らし、水垢の付着も防げるため、給水系統を長く清潔で効率よい状態に保てます。
お手入れ
器具を清潔に保つことは、衛生面だけの問題ではありません。マシンを長く正常に動作させ、雑味のないバランスのとれたエスプレッソを淹れるための重要なポイントです。
コーヒーのかすやオイルが蓄積すると詰まりが生じ、抽出の効率や流量、圧力に悪影響を及ぼします。
当サイトでは PulyCaff 製品を幅広く取り揃えています。効果的でプロ仕様のお手入れのために、自信を持ってお客様におすすめしている製品です。
Soak Cleaning System
Soak Cleaning System は、ポルタフィルター、シャワースクリーン、フィルターなどの金属部品をすばやく洗浄できる、最も充実した理想的なセットです。
キットには、洗浄用の容器、pulyCAFF 3.5グラム入り小袋20袋、PulyMILK 25 mLボトル4本、ブラシ1本、pulyGRIND 小袋2袋が入っています(pulyGRIND は、このあと紹介するグラインダー用クリーニング製品を試せる、とても便利なおまけです)。
洗浄したい部品をお湯を入れた容器に浸し、専用洗剤を加えてしばらく置くだけです。頑固な汚れを落としやすくするため、とても熱いお湯の使用をおすすめします。最後に、たっぷりの水で全体をしっかりすすいでください。
グループヘッドのお手入れ
グループヘッドの洗浄には、 pulyCAFF Plus クリーナー (370 gまたは900 gの各サイズ)、またはタブレットタイプの pulyCAFF Plus Tabs をお使いいただけます。
Soak Cleaning System のように部品をトレーに浸け置きするだけでなく、pulyCAFF Plus はブラインドフィルターを使ったバックフラッシュにも使え、隅々までしっかり洗浄できます。
手順は次のとおりです:
- ブラインドフィルターに pulyCAFF PLUS を約5グラム、またはタブレットを1錠入れます
- 抽出を10秒間行って10秒間止め、これを10回繰り返します
- ポルタフィルターを外し、フィルターを水ですすぎます
- グループヘッドをすすぐため、きれいなブラインドフィルターを付けたポルタフィルターを装着し、10秒間抽出して10秒間止めます。これを10回繰り返します
グループヘッドは定期的に、週に1回程度洗浄することをおすすめします。風味を損ない、マシンの性能を低下させるコーヒーのかすやオイルをすべて取り除けます。
pulyMILK Plus
カプチーノがお好きな方なら、スチームワンドやミルクピッチャーの内部にミルクの残りかすがいかに溜まりやすいかをご存じでしょう。 pulyMILK Plus は、ミルク由来の脂肪、糖分、タンパク質を除去するために特別に配合されており、衛生を保ち、スチームワンドを完璧に機能させます。
嫌なにおいや故障を防ぐため、スチームワンドを集中的に使った後、またはお手入れをしていなかった場合はミルクをスチームした直後に、pulyMILK Plus を使うことが大切です。
スチームワンドのお手入れ方法:
- 500 mlの冷水と25 mlの pulyMILK Plus を入れた容器に、スチームワンドを浸します
- スチームワンドを1秒間開いて10秒間閉じます。これを7〜10回繰り返します
- すすぐときは、1リットルの冷水を入れた容器にスチームワンドを浸し、ワンドを1秒間開いて閉じます。これを7〜10回繰り返します
定期的なお手入れも、適切な水選びもしてこなかった? それは困りました! でも、まだ望みはあります!
最後の頼みの綱は Puly Cleaner です。強力なスケール除去剤で、 緊急時にのみ使用してください!
手順は次のとおりです:
- マシンの使用後、電源を切り、ボイラーに残っている水を抜きます
- Puly Cleaner 1袋を1リットルの水に溶かし、タンクに注ぎます
- マシンの電源を入れ、適切な温度と圧力に達するまで待ってから数回抽出し、スケール除去剤を含んだ水を内部に行き渡らせます
- 約30分間そのまま置いてから、マシンの電源を切ります
- スケール除去剤を含んだ水をすべて排出します。水が青色や緑色を帯びていることがありますが、まったく問題ありません。Puly Cleaner がマシンの内部部品と反応した結果です
- 続いて、マシン内部のスケール除去剤を洗い流すため、タンクにきれいな水を入れてマシンから排出する作業を、水が完全に透明になるまで4〜5回繰り返します
数時間かかることもある手間のかかる作業のため、どうしても必要な場合、つまりマシンが正常に動作しなくなった極端なケースを除いてはおすすめしません。深刻なトラブルの解決には役立ちますが、スケール除去にはリスクもあります。剥がれた水垢のかけらが内部を流れ、マシンを損傷するおそれがあるのです。
だからこそ、水のろ過製品を使い、定期的にお手入れをして、ここまでの状態にならないようにすることがとても大切です。
適切な水を選び、正しいお手入れとメンテナンスを習慣にしてエスプレッソマシンを大切に扱うことは、単なる気配りではありません。マシンの性能を長く保ち、香り豊かでバランスのとれた高品質なコーヒーをいつも楽しむための最良の方法です。
いくつかの簡単な手順と適切な道具があれば、機器への投資を守りながら、毎日完璧なエスプレッソを楽しめます。
ご質問やご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。support@espressocoffeeshop.com へのメール、またはお電話(+39 0499904445)で承ります。
コーヒーをお楽しみください!